2026年6月|小学5年生授業レポート②_0610_Wed
- 6月12日
- 読了時間: 7分
今回は、本文から派生した「探究の道草」がとにかく盛りだくさんでした。
📘 論理国語:助詞ひとつ、修飾ひとつで「読める」が変わる
今回はステップ8の練習問題から、助詞「の」や「で」の用法を一つずつ確認していきました。
まず音読してくれた子の答え合わせをしたところ、「全部合ってるね」と気持ちよくスタート。
途中、英語教育についての短い文章を読んでいて、「日本では小学生から英語の授業があるが、英語を使いこなせる人は少ない」という一文から、つい話が脱線しました。
「いくら本を読んで覚えても、使わないと全く使えるようにはならないんだよ」。
インプットだけでなく、アウトプット(実際に使うこと)が大事だという話です。これは英語に限らず、国語でも、考える力でも、まったく同じだと思っています。今日の授業そのものが、その「使う練習」でもあります。
●探究①:モネの池
問題文に出てきた「モネ」の話から、岐阜県関市にある通称「モネの池」をその場で検索してみました。
実は私の親族がこの辺に住んでおり毎年あの池の前を通るので良く知っています。
そばを流れる板取川はとても美しい川で、東海地方に行った際には是非お立ち寄り下さい。 (モネの池は期待値低めで行くことをお勧めします。)
🏺 文章読解&探究
【題名】生き物たちに魅せられて
【種類】説明文
【語彙】
元来/平野部/木漏れ日/熱麻痺/もっけ/もっけの幸い
【要約】かつてモンシロチョウが多く見られた場所で、いつしかスジグロチョウが目立つようになった。その理由を、説明文は「スジグロチョウが奪った」のではなく、人間による都市化(関東平野でのビルの増加など)が両者の生息環境を変えたからではないか、と読み解いていく。前半は観察された事実を、後半は筆者の意見(「〜ではないか」)を述べる構成になっている文章です。
この文章で一番伝えたかったのは、「事実」と「意見」の見分け方です。
「事実は誰が見ても変わらないもの。意見は、人によって変わるもの」。後半に出てくる「〜ではないか」という言い方が、意見の目印になります。
きっちりとした区分けは難しいのですが、この2つの存在を頭の中で理解して文章を読んだり、人の話を聞いたりするのはとても重要です。
余談ですが、あたかも事実であるかの様に意見を言う人が居ますね。
こういう違和感を感じ取れるようになってほしいですし、少し飛躍して言うとだまされない大人になってほしいです。
「それってあなたの感想ですよね?」
聞いてみると、めっちゃ使っている子が学校にいるようです。
私は、ひろゆきが好きでも嫌いでもありませんが、「それってあなたの感想ですよね?」が生まれた時の動画を視聴しました。まさに、意見をあたかも事実であるかのように語る人に対しての強烈な一言です。
言い方は置いておいて、事実と意見(仮説)を切り分けて議論することは、基本中の基本です。
人数が増えてきたら、相手をやっつける議論ではなく、同じ目標に向かって前向きに建設的な議論をする練習をしたいと考えています。
問題文の選択肢に「元々モンシロチョウがいた場所をスジグロシロチョウが奪った」という記載がありました。
「この選択肢は何が間違っているか説明できる?」
すると、ある子が「人がなんかしたことが影響してる」という趣旨のことを、的確に言い当ててくれました。
文章の論理をちゃんと追えている証拠で、嬉しい瞬間でした。
この選択肢の因果関係は記載されていません。モンシロチョウはスジグロシロチョウに奪われたのではなく、人間の都市開発によって住みにくくなってしまったのです。
●探究①:紫外線・可視光と、蝶の視覚
蝶のオス・メスの見分けの話から、紫外線・可視光・波長へ広がりました。
ブラックライトを当てるとメスが光って見え、オスは紫外線を吸収する——人間には同じに見えても、蝶どうしには違って見えているわけです。
ブラックライトを当てた写真を見ると「え!?」と驚いていました。笑
そこから「赤外線」「紫外線」って何の外側なんだろう(UV=ウルトラバイオレット、赤外線は赤の外側)、虹の七色はどう並んでいたっけ、と用語が次々飛び交う、にぎやかな時間になりました。
これは高校物理で出てくる話ですが7色の覚え方は「セキ トウ オウ リョク セイ ラン シ」(赤、橙、黄、緑、青、藍、紫)です。


●探究②:変温動物と「春型・夏型」
モンシロチョウは変温動物なので、気温によって活動の度合いが変わります。
春に出てくる「春型」は小さめ、夏の「夏型」は大きめ——同じ蝶でも季節でサイズが違うのは、変温動物としての活動量や代謝の違いが関わっているのではないか、という話をしました。
●探究③:木漏れ日と子鹿の模様
「木漏れ日」という語彙から、この「木漏れ日」を利用した模様の動物は何か?問題を出しました。
私はちょっと懐疑的なのですが、小鹿がそうらしいです。
生物の進化の観点で、たまたまそういう動物が生き残っただけで、シカ自身に「よし木漏れ日模様になってカムフラージュしよう!」という意思は無いように思いますね。

●探究④:高度経済成長期
関東平野と都市化
「なぜ蝶の勢力図が変わったのか」は、都市化と結びついています。
地図で緑は山、白は平野。「昔(江戸時代)はここにビルなんてなかったよね」。
人が建物を増やしたことで、蝶たちの暮らす環境そのものが変わってしまったのです。
その当時の話をするためにサザエさんを引用して説明しました。
サザエさんの時代は、デパートに行く時におしゃれをしていきます。
もちろん現代の人も気を遣うとは思いますが、サザエさんの世界ではそういうレベル感の話ではありません。
日曜日の18:30から見ていただくと、現代との違い、当時のデパートが一目を置かれているということを見て取ることができます。
現代では打って変わって、デパートが倒産する時代になっていますね。
🧠 クリティカルシンキング
前回から始まった「問いを立てる力」。宿題として「文章を読んで質問を5個以上考えてくる」を出していたので、今日はその発表からスタートしました。
蝶の文章について、子どもたちはこんな質問を持ってきてくれました。
「海を渡ってくるって書いてあるけど、何キロくらい飛ぶの?」
「なぜ海を渡って日本にやってきたと考えられるの?」
「どうして熱麻痺になると飛べなくなるの?」
特に、二つ目と三つ目のように「なぜ〜と考えられるのか」「どうして〜なるのか」という問いだけでも素晴らしいのですが、さらに一歩突っ込んで少し難しい話をしました。
オープンクエッションとクローズドクエッションです。
クローズドクエッションは、Yes・Noで答えられる質問。
オープンクエッションは、回答者が自由に解答できる質問。
クローズドクエッションは、一歩深い思考を必要とします。
思考を生業とするコンサル業界では鉄則の仕事術です。
「どうしたらいいですか?」は禁句で、まずは自分で考えなさいと言われます。 つまりこんな感じです。
「なぜ海を渡って日本にやってきたと考えられるの?」
→「中国大陸から海を渡ってきたと考えられるということは、同じDNAをもつ蝶が中国と日本で見つかったってこと?」
自分の考えや仮説をセットにして質問をするということです。
これはAIを使うときにも有効で、AIに教えてもらうという受動的な姿勢ではなく、自分の考えをぶつけてそれを吟味して練り上げ、検証していく能動的な学びの姿勢そのものです。
もちろん大人でも難しいのですが、このレベルまで行ってほしいという想いで話をしました。
今日は、虫の話から絵画、可視光、事実と意見、本当にあちこちに飛びました。
知識をただ覚えるのではなく、目の前のことに自分から「なんで?」と問いかけられる力をつけて欲しいと思っています。
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