「川田亜矢から川田が取れた」――呼び方の変化に見た小5の心情読解|2026年9月 小学5年生授業レポート③_0916_Wed
2026年9月16日(水)小学5年生クラス
📘 論理国語:隠れた「だから」「しかし」を見つけ出す
今回はまず、一つの文がもう一つの文の中にどう「埋め込まれて」いるかを読み解く練習からスタートしました。「祖父が勤める造船所で完成した新しい船を水に入れさせる進水式」という長い文を題材に、まずは主語と述語のどれが一番大事な情報なのかを確認します。文章の骨組みは主語と述語だけで、そのほかの言葉はその骨組みを詳しく説明する材料にすぎません。「進水式が行われる」が骨組みで、「祖父が勤める造船所」や「新しい船が完成した」はその説明にすぎない、という構造を、実際の進水式の動画も見ながら確認しました。シャンパンの瓶を船体にぶつける伝統や、割れないと不幸になるというジンクスなど、雑学も交えながらの読解になりました。
続いて、長い文章を「〜なので」「〜だが」といった接続の言葉で区切り、分解していく練習に進みました。「いちいち『だから』とか『しかし』とか書かないケースが結構ある」と伝え、書かれていない接続関係を自分で補いながら読む大切さを説明しました。植物の毒についての例文では、ある生徒が「植物にとって葉っぱは生きるために必要です。しかし、それを食べてしまう動物や虫がいます。そのため、食べられないように、一部の植物は毒を持っています」と、自分の言葉で文を組み立てて発表してくれました。何気なく読み流してしまう接続関係を、自分の手で分解して初めて「文章の骨格」が見えてくることを実感してもらえたのではないかと思っています。
例題として扱った福井県鯖江市の文章では、メガネフレーム生産で国内シェアの8割以上を占めているという事実から「だから鯖江市に住む多くの人がメガネ工場で働いている」という結論が本当に成り立つのかを一緒に考えました。「だから」でつながる結論が成り立つには、隠れた前提が必要です。今回であれば「鯖江市の仕事の多くがメガネ作り関連である」という前提が必要で、もし農業など他の産業も盛んであれば、この結論はそのままでは成り立たないことを確認しました。もっともらしく見える文章ほど、隠れた前提を見抜く練習が大事だという話をしました。
🏺 文章読解&探究:『卵と小麦粉それからマドレーヌ』――共通点が生んだ心の変化
【題名】石井睦美『卵と小麦粉それからマドレーヌ』(BL出版)
【種類】物語文(「わたし」の一人称視点で心情の変化を描く作品)
【語彙】唱和する/決心する/うわさ
【要約】転校してすぐの「わたし」は、クラスメイトの川田亜矢に対してどこか身構え、「こんなやつとは友だちにならない」と決めていました。ところが学校のトイレに対する小さな不満という共通点を見つけたことをきっかけに、二人の距離は少しずつ縮まっていきます。そんな「友だちになれない」から「友だちになれそう」への心の揺れ動きを描いた物語です。
読解ではまず、「男子は青、のところは、川田亜矢も唱和した」という一文の「唱和した」の意味を確認しました。「唱和した」を「ハモった」とたとえると、子どもたちにもすっと腑に落ちた様子でした。さらに「川田亜矢から川田が取れてしまった」という表現については、呼び方が変わること自体が二人の関係の変化を表す比喩になっている、という読み取りの面白さを伝えました。設問5番「川田亜矢への気持ちはどう変わったか」では、心情の「変化」を書くときは、「最初は〜が、最後は〜と思うようになった」という形で、変化のきっかけとあわせて書くことが大切だと伝えたところ、ある生徒が「最初は絶対友だちにならないと思ったが、最後はえっと意外といいやつさんだと思うようになった」と発表してくれました。物語で一番大事なのは、この心情の「変化」と、その変化を生んだ「共通点の発見」であり、会話の中で共通点を見つけることは仲良くなるための一つのテクニックなのだ、という話につなげました。
物語の舞台となるトイレの描写から、話は「トイレの花子さん」や「口裂け女」といった都市伝説の探究へと広がっていきました。噂を広める人物像を尋ねると、ある生徒から思いがけず「水木しげる」という珍回答が飛び出し、教室に笑いが起きました。口裂け女については、1970年代に社会現象と呼べるほど噂が広まり、当時は警察が出動するほどの騒ぎになったのに、夏休みになるとうわさが広まる装置がなくなり鎮静化したという話を紹介しました。
🧠 クリティカルシンキング:大福とまんじゅう、どちらが高い?
続けて、以前から取り組んでいる記述問題「大福ともち」に進みました。おじいさんが持っているお金でできるだけ多くの大福を買い、残ったお金でまんじゅうを1個買った、という状況から「大福とまんじゅうのどちらが高いか」を論理的に説明する問題です。「残ったお金は大福1個分より小さく、その残ったお金でまんじゅうが買えた」という2つのステップから、「だから大福はまんじゅうより高い」という結論を導きました。以前学んだ図形の「A=B、B=Cだから A=C」という考え方とも結びつけながら説明したところ、答え自体は分かっていても、それを筋道立てて書き表すことの難しさを実感してもらえたようでした。
最後にババ抜きの新しい問題を紹介しました。4人でババ抜きをしている状況で、ある一人が何枚のカードを持っているかを、理由とともに論理的に説明する問題です。ルールを一緒に確認したところで時間となり、次回までの宿題としました。
⚙ 授業前のひとこま:地球上に太陽を作る
授業の冒頭では、核融合発電の実験成功のニュースをきっかけに、研究施設を地域に呼び込む「誘致合戦」の仕組みを、東京ドームを例に説明しました。さらに、各国が協力して進めている核融合実験炉ITER(イーター)の計画は、太陽と同じ反応を地上で起こす、いわば「地球上に太陽を作る」挑戦なのだと伝えると、ある生徒が「安全で、燃料が無限にある」という趣旨でその利点を口にしてくれました。本当にそんなことが可能なのかと、私自身も驚きながら話した話題です。完全自動運転タクシーのニュースからは、AIやテクノロジーの話題に広がり、「賢いAIを使えば使うほど、裏側では電気をたくさん使っています」という説明に、子どもたちは新しい発見をした様子でした。便利さの裏側にあるコストにも目を向けるきっかけになったのではないかと思っています。
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