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2026年5月|小学4年生授業レポート③_0527_Wed

  • 5月28日
  • 読了時間: 7分

2026年5月27日


5月もいよいよ最終週。

水曜日の教室は、助動詞のら抜きから始まり、絵巻物を覗き込み、最後は「ついていい嘘はあるのか」というところまでぐるりと一周した、内容ぎっしりの一日でした。


📘 論理国語

テーマ:助動詞のら抜き確認と、助詞(てにをは)について。

そして「言葉は道具」というお話。


前回までの助動詞の復習からスタートしました。

「覚えれる/覚えられる」を取り上げて、「らがいるよ。ら、入れてね」と確認するところからです。

普段の会話では「食べれる」「覚えれる」とどうしても言ってしまうけれど、正しくは「ら」が入る──いわゆる「ら抜き言葉」の話です。

「普段は『食べれる』って使っちゃうんだけど、正しくはらがいるからね」と、話し言葉と書き言葉のあいだに線を引いて整理しました。


後半は、助動詞から助詞へバトンタッチ。

「助動詞は、意味を付け加える言葉。今日やる助詞は、つなぐ言葉だよ」と対比で導入しました。

最初に取り上げたのは「の」と「と」のちがい。

「雛人形の絵」と書けば、絵そのものに雛人形が描かれている。

「雛人形と絵」と書けば、雛人形と絵、両方を見たという意味になる。

たった一字でこんなに意味が変わるんだ、というところからスタートです。


そこから「が・は・を」の話に入りました。

「『が』とか『は』がついている言葉は、たいてい主語だよ」「『を』がついていたら、それは目的語かなって見当がつくよ」と、助詞が文の役割を示してくれることを確認しました。

「弟がご飯を食べる」と「弟のご飯を食べる」では、食べているのが誰なのかが入れ替わってしまう。


いつも言っていることですが、「言葉を正確に使ってほしい」

「言葉は道具でね、料理でいったら包丁みたいなものなんだよ」

「正しく使わないと、相手にも通じない。それどころか、自分の頭の中でもうまく考えられなくなる。」

助詞や助動詞という地味な単元を扱う理由は、ここに尽きると思っています。

道具を正しく使えるようになると、考えられること・伝えられることがぐっと増える。

小学生のうちに、この感覚を体に入れておいてほしいと話しました。


発言を聞いていると、まだまだ不正確に言葉を使っているシーンが見受けられます。

小学生なので当たり前です。

口うるさいようですが、気が付いた時には「てにをは」から直します。

言葉を適当に、曖昧に、ぼんやりと使うと、思考のシャープさも出てこないからです。

これはじっくりやるしかありません。


🏺 文章読解&探究

題:永江朗『本について授業をはじめます』(少年写真新聞社)

語彙:浸(ひた)る、愉快(ゆかい)、まれ(→レア)、絵巻物、源氏物語絵巻、鳥獣戯画、伴大納言絵巻、信貴山縁起絵巻

要約:

一人で本を読むのは楽しいもので、本の世界にたっぷりと浸ることができます。図鑑で電車の動きを知ったり、歴史マンガで昔の人のことを知ったり、小説の主人公になった気持ちでワクワクしたり、詩や俳句や短歌で想像をふくらませたりできます。一方で、友達と同じ本を読んで感じたこと・考えたことを話し合うのもおもしろく、自分とはちがう読み方があるのに驚かされます。二人で読むと、おもしろさも二倍になります。後半では、日本の平安時代から鎌倉時代、室町時代にかけて絵と文章で物語をあらわした「絵巻物」がたくさんつくられたことが紹介され、これも一人ではなく何人かで読まれたのではないか、という筆者の推測で締めくくられます。


授業はいつもの音読から始まりました。

「ひたる」のところで、「お風呂にちゃぽんとつかる感じね。『おひたし』もここから来てるんだよ」と話すと、「あ〜」と納得の声。


「ゆかい」では、「楽しい・気持ちいい、っていう感じだね」と整理しました。

「まれ」は、ある子が「めったにない様子」と即答してくれて、「そうそう。英語でいうとレア。

レアキャラのレア、ってこと」と話したところで、教室は「超激レア!」「ヒカキンしか持ってない!」と一気に盛り上がりました。笑

YouTubeはほどほどに。本を読もう!


俳句はまだならっていない子もいて、有名な俳句を少し確認しました。

・古池や蛙飛びこむ水の音(松尾芭蕉)

・柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺(正岡子規)

・やせ蛙まけるな一茶これにあり(小林一茶)


要約練習では、当たり前ですがまだまだ難しいと感じる子もいる中で、とても筋の良い要約をしてきてくれる子もいて驚きます。

文章全体が平たんなものではなく、濃淡がついて重要なところが見えるようになると嬉しいです。


●探究①:四大絵巻と「日本最古の漫画」

本文に出てきた「絵巻物」を入り口に、四大絵巻の話に広げました。

『源氏物語絵巻』『鳥獣戯画(鳥獣人物戯画)』『伴大納言絵巻』『信貴山縁起絵巻』──すべて国宝です。

「これ全部、国の宝物に指定されてるんだよ」と画像を見せると、「ウォーリーを探せみたい!」「この人の顔、おかめ納豆みたい!」「足が大根みたいだね」と、自由な反応が次々と。

読んだ文章を、自分たちの感覚で受け止めてくれる時間です。


そのなかで「鳥獣戯画は日本最古の漫画と言われているんだよ」と紹介すると、「世界最古ってこと?」と鋭い問いが飛んできました。

その場で検索をかけて、「日本最古の漫画」表記と「世界最古の漫画」表記の両方が出てくることを一緒に確認しました。

情報をそのまま鵜呑みにせず、根拠を見にいく。これも一つの学びだと思っています。

鳥獣戯画(日本最古の漫画)
鳥獣戯画(日本最古の漫画)



●探究②:源氏物語絵巻と五島美術館

源氏物語絵巻の保管場所と展示情報も子どもたちに紹介しました。

所蔵は徳川美術館(名古屋)と五島美術館(世田谷区)。

五島美術館は太郎塾から自転車で行ける距離にあります。

「教科書で読んでいる絵巻物が、自分の街の美術館に保管されているかもしれない」──このつながりに気づいてほしくて話しました。

国宝の絵巻物は文化財保護のため、年間の展示日数が厳しく制限されています。実物を目にできる機会は本当に限られている、というところもあわせて伝えました。

次の公開のタイミングには、実物を見に行きたいと思います。


源氏物語絵巻
源氏物語絵巻


🧠 クリティカルシンキング

テーマ:オットーの斧・後編


「オットーの斧」も今日でひと区切り。

3年後の場面を音読してから、フィンが学校から帰ってきて「お父さんは嘘つかないよね?」と問う場面に入りました。

オットーは何かを言おうとして、声が出てこない。

ここから今日の議論が始まりました。


問いはシンプルです。

「なぜオットーは答えられなかったのか?」


ある子が口火を切ってくれました。

「『嘘ついたことないよ』って言うと、それ自体が嘘になっちゃうから」

別の子も「答えると嘘になるから黙るしかなかった」と続けました。

「じゃあ、本当のことを言えばよかったんじゃないの?」と切り返すと、「うーん…」と長い沈黙。

ここで嘘の自己言及的な構造が、子どもたちの中でじわっと意識され始めた感じがありました。


ある子が「『ちいちゃんの影送り』に出てくるおじいちゃんの言葉も嘘だったけど、あれは安心させる嘘だったよね」と引いてくれました。

「優しい嘘」というキーワードがここで出てきました。

別の子は、「もし追われている人がいて、犯人に『どっちに逃げました?』って聞かれたら、『左に行きました』って嘘をつくのはいい嘘じゃない?」と提案してくれました。

「でも、その嘘がバレたら自分が何されるかわからないよ」と別の子がツッコミを入れる。

リスクや安全性の話まで広がりました。


ここで一度立ち止まりました。

「ちょっと待って。今みんないい話をしだしたね!今、みんな何を話してるかわかる?」と問いかけました。

「最初はオットーが『どう答えるか』を考えていたよね。でも、今話していることは、その前に考えるべきことがあって、それを話し合っていることに気づいてる?」

教室が少し静まります。

「今、みんなは何を考えているんだろう?」


5分くらいいろんな意見が出ましたが、たどり着きそうでたどり着かない、言語化は難しいですね。


「『ついてもいい嘘はあるのか』──これが、今みんなが話し合いを始めた、考えるべきポイントなんだよ」

「最初は『嘘はダメだ』っていう前提があったけど、その前提が本当に正しいのか、『優しい嘘』というキーワードから疑い始めていたんだよね」

「これはすごいこと!」


クリティカルシンキングで一番大事なのは、「答えを出すこと」よりも「考えるべきことを考えること」です。

聞かれた問いにすぐ答えに飛びつくのではなく、「いま自分は何を考えなくちゃいけないんだっけ?」と一度立ち止まる。

そして、自分が無意識に置いている前提を疑ってみる。

「前提を疑う」という感覚も少しずつ身に付けていってほしいと思います。



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